「最近忙しいくて、休む暇もないんだよね」
「今日もいっぱい仕事したなぁ」
「やればやっただけ成果がでる」
というセリフに疑問を持たない方、この記事がお役立ちできるかもしれません。
こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗を重ねてきました。
生産性って時々使うけど、ちゃんと考えたことないです。
仕事でもチームワークでもこれを知っているかどうかで成果が大きく変わるよ。
組織活動の一部である会議にも高い生産性は重要です。ここでは会議をいったんおいておき、そもそもの生産性について解説します。
- 世間によくある生産性の誤解に気づくことができる
- 高い生産性のポイントについて知ることができ、仕事の効率を考え直すことができる
- 会議の生産性について理解が深まり、成果が出しやすくなる
結論
生産性を式で表すと
生産性=OUTPUT / INPUT
となりますので、OUTPUTを大きくし、INPUTを小さくすると高い生産性が発揮できたと言えます。持論でないことの証として、公益財団法人日本生産性本部の資料を抜粋します。
んー、詳しくなったらややこしくなりました。
分子は成果、分母は労力や時間のことだね。もっと簡単に表してみるね。
わかりやすくなりました。でも別に違和感感じないですよ?
じゃぁ冒頭のセリフをあてはめて考えてみよう。
“高い生産性”の誤解
では、冒頭のセリフを生産性の側面から考えてみましょう。
「最近忙しいくて、休む暇もないんだよね」→時間をいっぱい使っている
「今日もいっぱい仕事したなぁ」→投下した労力に満足している
「やればやっただけ成果がでる」→時間と労力を増やし、成果を大きくする
どれも分母の時間や労力を減らすことがないがしろになっていることがご理解いただけるのではないでしょうか。
ほんとだ。どれも分母を小さくしていない。
頑張ることが前提になっているよね。誤解を恐れずに言うなら、理想は「対して頑張っていないのに大きな成果がだせる」ってことだよね。
つまり、高い生産性というのはどれほど少ない労力で、どれほど大きな成果を生み出せるかということなんです。
でも、こういう人たちって、生産性の高い活動をいっぱいやっている可能性はないですか?
もちろんそれもあるだろうね。じゃぁ程度を理解するために国際比較で日本の傾向を見てみよう。
世界と比べた日本の生産性
1. 日本の時間当たり労働生産性は、49.9ドル。OECD加盟38カ国中27位。
2. 日本の一人当たり労働生産性は、81,510ドル。OECD加盟38カ国中29位。
3. 日本の製造業の労働生産性は、92,993ドル。OECDに加盟する主要35カ国中18位。
公益財団法人 日本生産性本部 労働生産性の国際比較2022 プレスリリース・サマリー(PDF:1.1 MB)
OECDとは、パリに本部を置く経済協力開発機構のこと。OECDは、先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、1)経済成長、2)貿易自由化、3)途上国支援(これを「OECDの三大目的」といいます)に貢献することを目的としています。
あらら、ひいき目に見ても低いですね。
製造業の・・・については真ん中だからまだいいかって思うでしょ。でも2000年当時は1位だったんだ。そこからどんどん下がって今に至るよ。
なんで低いんでしょうね。
背景としては政府の施策や、教育の在り方などより専門的なものがいくつも影響しているんじゃないかな。
話が大きくなると取り留めがなくなるので割愛しますが、私たちは常に「高い生産性が発揮できているか」について注意する必要があるのではないでしょうか。
高い生産性を生み出す2つのポイント
ここでは高い生産性を発揮するために、「本質」と「持続性」について解説します。
本質を見つめなおす
日々目の前の作業に向き合っていると、作業をこなすことに集中しすぎて、作業が本質を捉えているか考えなくなってしまいます。そもそも人は楽をしたいので、決まったことをやり続けることで安心してしまうのかもしれません。
老舗のお店が伝統を貫くがために廃業してしまう事例が似ているね。
身の回りや社会は絶えず変化しています。ということは本質に基づいた作業ができているか、さらに、当初本質と思っていたことが勘違いではなかったか、ということを確認しなければなりません。
具体的にどうすればいいんですか?
具体的な理想のアプローチは
「本当に向き合うべき問題は何だろう?」と自問することや、チームで考えることです。
これについては”イシューからはじめよ”-知的生産の「シンプルな本質」- 安宅和人著で詳しく解説されています。
ただ、普段考えていないから難しいという人もいると思う。
そこでお勧めしたいのは
「今やっていることの先に達成したいことは何だろう?」と自問すること、チームで考えることです。
そうすることで、目の前の作業を手段と見立て、目的を再認識することにつながります。物事の構造はほとんどが手段と目的で関係づけることができますので、目的や手段に違和感を感じたら考え直す必要があると言えます。
砂浜に行く(手段)→ 泳ぎたい(目的)
これに慣れたら、目的を手段に置き換えて、さらに先の目的(いわば大目的)を考えてみてください。
泳ぎたい(手段)→ 夏を満喫したい(目的)
上の事例でいうと、夏を満喫したいのが大目的であり本質です。ということは、仮に天気が悪かったら、スイカを食べるなどの別の手段が考えらえるわけです。
あえて言葉にしていないものが本質なんですかね。
そうだね。無意識的なものを意識的にするような感じかな。
この方法では、理想のやり方より遠回りになりますが、本質を考える練習になります。
持続性を作戦に盛り込む
高い生産性を発揮する場合、瞬間の威力で考えないようにしようということです。一時期何かの取り組みが効果を発揮しても、それが長続きしなかったり、そのあとで逆にマイナス効果になってしまっては意味のないことになります。高い生産性はそれが維持され、さらに向上していくことが大事です。
そのためにも、持続性を考慮に入れましょう。
頑張りすぎて体壊しちゃった、みたいなことが近いですか?
個人的なもの以外にも考えられるよ。
自分が長く成果を出し続けられることは持続的ですが、
他の人に交代しても続けられることの方が持続的ですし、
人が関わらなくても成果を出し続けられることはさらに持続的と言えます。
人が関わらなくても?
自動の仕組み化をするってことだね。例えば手旗信号じゃなくて信号機の方が持続的に交通整理という成果を出し続けるよね。
生産性の「成果」に何を設定するか
時々見かける誰かの成功物語だと、初めの頃はとにもかくにも行動していて、
生産性を度返ししている気がしますが、それはどう考えたらいいんですか?
それはね、例の分数の分子を「学び」にしているってことなんだ。
どんな物事もいきなり高い生産性を生み出すことはできません。例えば起業であれば、仮説と検証を繰り返し学びが一定程度を超えたところで実績が生まれます。その期間は他人からは「失敗」や「低い生産性」の状態と見られることが多いです。
分子の成果が仮説検証による「学び」と置かれている場合と言えます。成果は必ずしも目に見える実績でないことも理解しておくといいでしょう。
まとめ
その「生産性」本当に高いと言えますか?勘違いから抜け出すポイントと題して、生産性について解説しました。
生産性=OUTPUT / INPUT である
高い生産性のためには、アウトプットを大きくする一方でインプットを小さくすることも大切
物事の本質や持続性を考え直すと、生産性を高めるポイントが見えてくる
仕事の同僚や、組織内で冒頭のようなセリフが聞こえてきたら生産性を高めるチャンスです。ぜひ個人で、チームで考えてみてほしいと思います。