リモートの会議にとどまらず、リモートの講座、リモートのコミュニケーションは今は当たり前になりました。が一方で、その違いや長所短所が分からず、リモートにしろリアルにしろ集まったもののいまいち盛り上がらないことや、ハイブリッドの開催に手間取り大変さだけが圧し掛かっていることに苦労している人も多いのではないでしょうか。
改めて、リアルの集まりをどのように充実させられるかについて整理してみたいと思います。
・リアルの集まりとリモートの集まりの長所短所を理解できます。
・リアルでのコミュニケーションを深めるための実践的な方法を学べます。
・リアルの集まりをより充実させるための4つのポイントを理解できます。
こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗を重ねてきました。
リアルでもリモートでもいまいち盛り上がりに欠けるんです。
それぞれの特徴を活かせないとストレスが溜まってしまうこともあるよね。
結論 リモートよりリアルの方がいいと感じてもらうための4つのポイント
リアルの集まりを充実させるためには、リモートでは補いきれないリアルの長所をしっかり実現するという事になります。リモートは良くも悪くもコミュニケーションに機材やシステムの制約が生じます。
リモートでは画面共有とか、離れた場所から参加などが便利ですよね。
そうだね。一方で、画角の外が見えないことで仕草など非言語の情報が欠けてしまったり、必要以上に参加者の顔が見えたり、見えなかったりするよね。
一方、リアルのコミュニケーションはコロナ禍前には無意識的に行われていたことから、その豊かさを構成する要素に気づけていないケースが多いようです。ポイントは主に4つ考えられます。
・共創 (一緒に作れる感覚)
・豊かなインタラクション (発散や受容の感覚)
・偶然性 (困り事はひとつじゃない)
・実技 (体感覚はデジタル化できない)
です。
1つめ、共創について
リアルで集まる方は、たまたま家の近くで開催されるからという理由以外に、集まりそのものにすでに親近感を覚えているからという理由の方も多くいると思います。言ってみればファンですが、ファンにとってはそのイベントの盛り上がりに自分が貢献できることにとても喜びを感じるはずです。テーマパークや音楽ライブなどは盛り上がりそのものへの貢献としてイメージしやすいですが、学びの会であれば、学びが大きくなることに協力できると嬉しいなど、会の特色に合わせて貢献の内容があるのではないでしょうか。
コミュニティであれば、受付時に付箋に参加の目的を書いてもらい、壁に貼ってもらうなどはどうでしょう。それが多くなるほど、他の付箋と相乗的に共感、気づき、学びが生まれると思います。七夕やクリスマスなどの次期であれば、大きい模造紙に竹やモミの木の絵をかいて壁に貼り、付箋を短冊やプレゼントに見立てて貼ってもらうこともできます。
◆ 2つめ、豊かなインタラクションについて
リモートは主催からプッシュされる情報を得るにはとても便利です。が、複数の参加者によるコミュニケーションや、講座であれば学びとることを考えると、理解にズレがないか確認を取りたかったり、自分のケースにあてはめて他者や登壇者から意見をもらいたいということもあり、柔軟な言葉のキャッチボールが必要です。
そのためには、参加者にも温まってもらう必要があります。例えば、一方向に話を聞く側でいる状態から、「質問ありますか」というタイミングになると、心の切り替えが難しくなります。
言葉のキャッチボールの手間に、意思表示としてのジェスチャーが有効です。
例えば、開会時に「今日は1時間以上かけてきた人はどのくらいいますか?挙手をお願いします」みたいな、ジェスチャー参加のやり取りがあるとどうでしょう?お昼直後であれば、「○○亭っていうそこのあラーメン屋に行ってきましたが、塩ラーメンが有名らしいです。知ってました?」ような、頷きで返せるライトな質問を投げるのも良いかもしれません。
レスポンスがよければ、「どちらから?」「飛行機で!?」みたいなやり取りがあってもいいかもしれません。
会議や講座の最後には「質問ありますか?」の投げかけが常套句ですが、参加者が質問を作るハードルがあります。「質問の程度が低いと思われたらどうしよう」と気にする方も多いはずです。そこで、もうすこし狭めた投げかけで始めてもいいかもしれません。「初めて聞いたという人、どのくらいいます?(挙手)」「最近当たる事例、あります?」などでしょうか。
登壇者など、コンテンツ提供者も余裕がある人は工夫をするといいです。リモートでもリアルでも話の構成が一緒であると、ゆくゆく「リモートで用が足りるじゃん」と思われてしまう可能性があり、極力避けるといいです。
例えばテーマに沿った写真を表示して、「この方、この後どんな対処をするといいと思います?」「隣の人とちょっと考えてみてください」「後ろの方、見にくかったら前にどうぞ」みたいな参加型が考えられます。参加者に考えてもらう、話し合ってもらう、動いてもらうなどの工夫という事です。
本質的に自分を出せること、出した自分を受け止めてもらえることは誰でも嬉しく、リモートよりはリアルの方が実現しやすいのではないでしょうか。
◆3つめ、偶然性について
主に偶然の出会いです。たまたま隣にいる人と意気投合した、とか、ちょっと話してみたら目からうろこの工夫が聞けた、などでしょうか。偶然を意図的にデザインするあたりにむつかしさがありますが、前段のような参加者同士のちょっとしたコミュニケーションや、付箋で見える化することが偶然性を触発できるかもしれません。また、立場毎に違った色のネックストラップをかけてもらって、(年代別、職業別、出身地別など)違った立場の方と意見交換してもらう流れを作るなどもいいかもしれないです。
特に、人はだれでも参加目的以外の問題を抱えているものですし、それを自覚していない場合もあり、それらはよく雑談に顕在化されます。雑談が起きやすい工夫ができればリアルならではの長所になります。会議であれば、目的に沿った時間配分をするので、開催前後の時間に工夫の余地があります。
◆ 4つめ、実技について
リモートだと、システムの制約で、視点はカメラ次第で固定されます。マイクも必要な人の音声を流します。その意味では実技を行い、周辺に集まってもらい、好きな角度で見てもらう、自由に話してもらうなどをすると、リモートではできない気づきのタイミングが生まれそうです。誰かに体感してもらうなどもリモートではできません。体感覚の得られる時間があってもよさそうです。
まとめ
以上、リアルの集まりをより充実させるための工夫を4つの要点を基準に紹介しました。
・共創 (一緒に作れる感覚)
・豊かなインタラクション (発散や受容の感覚)
・偶然性 (困り事はひとつじゃない)
・実技 (体感覚はデジタル化できない)
コロナ禍が落ち着くと、リアルではコロナ前の集まり方に戻す傾向がありますが、人がリモートの便利さを知った以上、中途半端なリアルの集まりでは参加者に不満が溜まりやすくなっているはずです。ぜひ、「また来たい」と思える工夫を実践してみてください。