【保存版】会議改革の第一歩は“観察”だった!実践できるツッコミワーク付き

はじめに:会議に不満が募るあなたへ

「なんなんだ、この会議」

「やだなー、早く終わらないかな」

「私、なんか上手く進行できない、なんでだろう」

参加する側であっても進行する側であっても、不満の残る会議は決して珍しくありません。なぜなら、会議のやり方なんて習ったことがないからです。参加者、場所、議題、さまざまな条件で多種多様に変わる会議に決まった方法がありません。

けれども、あなたが抱いた気持ちはすでに「会議を変えられる」第一歩を踏み出しています。
やるべきことは――実はとても簡単でなんです。

こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗と学びを重ねてきました。

今回は保存版として、会議を変えるために最初にやるべきことをご紹介します。

記事を読むメリット
  • 読むだけで、もう“イライラ会議”が少し楽になる
  • ツッコミを楽しんだだけで小さな達成感が得られる
  • 読後すぐに試せる“5分ワークシート”で変化を実感できる

“観察”。これが大事!

「観察」と聞くと、専門家のように場を分析したり、記録を取ったりする難しい作業を想像するかもしれません。
でも、安心してください。実践はとてもシンプルです。

あなたが会議中に

「なんで今その話になるんだろう?」
「またあの人が話してる…」
「今の沈黙、なんか気まずいな」

――そう思った瞬間。
それこそが、観察の始まりです。

つまり、あなたが「ツッコミを入れたくなったとき」には、すでに観察が始まっているのです。
人は違和感を感じたとき、本能的に「見よう」としています。
この“違和感のセンサー”こそ、あなたの観察力です。

難しく考える必要はありません。
「気になった瞬間をそのまま書きとめる」だけで、会議を変える最初の一歩になります。

なぜ、最初に「観察」が必要なのか

多くの人が「会議を変える」と聞くと、すぐに「発言ルールを決めよう」「進行役を交代しよう」「タイムキーパーを置こう」など、解決策から始めようとします。
でも、これは「川の流れを変える工事」と同じです。

たとえば、自然の川は蛇行しています。蛇行するのには理由があります。地形や流速、水量、生態系――すべての要素が「そこを通るのが最も自然だから」そうなっているのです。
もし人間の都合だけで「まっすぐに流れてほしい」と思い、直線に工事すれば、流れが速くなり、下流で氾濫が起こります。

会議も同じです。沢山の要因が関係しあって自然と現状を作っています。
今の会議の形は、良くも悪くも**「チームの現実の結果」**なのです。
その現実を見ずにテクニックで変えようとしても、反発が起きたり、すぐに元に戻ってしまう。

だからこそ、「観察」から始める必要があるのです。

観察とは、「不自然」を探すこと

観察の目的は、問題を責めることではなく、エネルギーの流れを見つけることにあります。
たとえばこんな瞬間、あなたの会議にもありませんか?

  • いつも同じ人が長く話している
  • ある提案を出した途端、空気が重くなる
  • 誰かの発言が「無かったこと」にされる
  • 会議が終わっても、結局何も決まらない

こうした現象はすべて「チームの力学」の表れです。こんなもんだと思うならそれは受け入れていることになりますが、不自然さを感じられれば、そこには何かしら偏ったエネルギーの流れがあり、一見不毛に見える行動にも、必ず理由があるということです。

「話が長い人」がいる会議を観察してみよう

たとえば、あなたのチームにも「毎回話が長い人」がいるとします。
あなたは内心「またか」と思っているかもしれません。
しかし――その人が長く話しているのは、ただの「癖」ではありません。

そこには、次のような背景が考えられます。

  • 自己肯定の確保:「発言の多さ」で存在価値を保っている
  • 不安の回避:黙っていると責任を問われるのが怖い
  • 関係性の維持:話し続けることで自分の立場を守っている
  • 言語化の不足:自分の考えを端的にまとめるのが苦手
  • 進行を急ぐ:自分が思う本論を始めたいので、前提情報を共通認識することに一生懸命

つまり、話が長いという行動の裏側には、本人の心理的な背景が存在しています。
この構図を観察できるようになると、単なる「迷惑な人」が、「チームの一面を表現してくれている人」に見えてくるはずです。

「なぜ誰も注意しないのか?」にもヒントがある

会議後に、「あの人、話が長いよね」と陰で言う人がいても、
その場で指摘する人はほとんどいません。
なぜでしょうか?

それは、次のような損得勘定が働いているからです。

  • 注意してもメリットがない
  • 注意したら関係が悪化するかもしれない
  • 現状のままでも大きな問題はないと思っている
  • 自分が注意する立場ではないと思っている
  • 誰も止めないほうが楽だと感じている
  • 知らない情報を話されすぎて、自然と聞く側になってしまう

人間は、不合理でも「安全」な現状を維持しようとする生き物です。
そのため、変化を望みながらも、無意識に「何も変えない」選択をしてしまう。
目立つ人だけでなく、受け入れている周囲の人にもその状況を成り立たせている背景があります。

「観察」の第一歩は、“感情”の動きに気づくこと

観察というと、行動を記録するイメージを持つかもしれません。
けれども本当に大切なのは、「自分がどう感じたか」を丁寧に拾うことです。

  • あの人が話し始めた時、なぜかイライラした
  • ある人の提案に、なぜか心が動かなかった
  • 誰かが笑った瞬間、場が一気に緩んだ

こうした「感情の揺れ」は、あなたの中にある“観察センサー”です。
感情は理屈よりも早く、「場の違和感」をキャッチしています。
また、キャッチするとどうしても、そこに対処を考える反射行動が起きやすいものです。ですが会議をそう成り立たせている要因は前述のように様々な人々の背景が影響し合っています。そこでお勧めしたいのがツッコミする感覚を楽しむという事です。

まずはノートやメモアプリに、「思いついたツッコミのセリフ」、「どんな場面か」、「自分の感情」を書き留めてみてください。
それだけでも、会議の“見えない構造”が少しずつ浮かび上がってきます。

観察するときのポイント3つ

ツッコミは主観で構いません。「私はこう思う」を素直に書き綴っていくといいでしょう。その上で、観察につなげていくときは、次の3つの姿勢を意識してください。

  1. 評価を分ける
     ツッコミには主観の「良い・悪い」が含まれると思います。書いた後で評価を省いた、「そうなっている」という状況だけの記述もしておきましょう。
  2. 個人、全員、全体の雰囲気など視点を変えてみる
     できる範囲で柔軟に視点を変えてみてください。様々な気づきが増やせるでしょう。
  3. 早急に変えようとしない
     気づいたことをすぐに行動に変えよう焦らないでください。的外れな対策に時間を割いてしまうかもしれず、また、観察慣れすることも大切です。

観察とは、あくまで“診察”です。
まだ“治療”には入りません。

観察から見えてくる「場の構造」

観察を続けていくと、例えば次のような構造が見えてきます。

  • 発言量の偏り → 権力や責任の構図
  • 沈黙の多い時間帯 → 安心感の欠如
  • 雑談が盛り上がる瞬間 → 心理的安全性の高さ
  • 無言の同意が多い議題 → 本音を避ける暗黙のルール

このような構造を把握することで、
「誰が悪い」ではなく、「どんな仕組みがそうさせているのか」が見えてきます。

それはまるで、表面の波ではなく、水面下の潮流を感じ取るような作業です。
そして、この潮流を正確に読むことができるようになると、
初めて「どう変えればうまくいくか」の方向性が見えてくるのです。

「観察」を行動に変えるタイミング

では、どのタイミングで行動を起こすべきでしょうか。
それは、「原因ではなく、構造が見え、仮説が立てられ、対策に小さなリスクで挑めそうだと感じたとき」です。パズルのピースを組み合わせるようにいくつもの観察の結果や自分の論理がつながって、対策が思いつくときが来ると思います。ですが、対策が例えば人との摩擦を生みそうだとか、今の会議の良さを損ねてしまうかもしれないというリスクの想定も大事です。また、自分が行動を起こすことでメンバーの対応などが変わり、再度対策の変更が必要な場合も出てきます。是非、小さなリスクのものからお試しになってはどうでしょうか。

最近では、人に相談する以外に、AIに質問することで壁打ちすることができる分、考えは深めやすいと思います。まずは行動を焦らず、観察体験を増やすことをおススメします。

「観察」を続けると何が起こるか

観察を続けていると、不思議なことが起こります。
最初は他人の行動ばかりが気になっていたのに、
だんだんと自分の関わり方にも目が向くようになるのです。

  • 自分も話を早く終わらせたいと思っていた
  • 相手の反応を読むことを恐れていた
  • 会議中の沈黙が怖かった

つまり、「会議を変える」ことは、
「自分を変える」プロセスでもあるのです。

観察とは、他人を監視することではなく、
自分とチームの関係性を理解する行為
これが、真の変化を起こす出発点になります。

さらに、参加者のそう振舞うことになっている事情を知ったり、思い測ってみることで、あなたからの参加者への関わり方が変わることもきっとあるでしょう。

会議が変わる「観察のループ」

最後に、ワクワク会議ラボでおすすめしている「観察のループ」を紹介します。

  1. 気づく(場の違和感をキャッチする)
  2. 記録する(気づきをメモに残す)
  3. 推察する(なぜそうなっているのかを仮説化)
  4. 共有する(信頼できる人と気づきを話す / AIに投げてみる)
  5. 小さく試す(小規模で変化を起こしてみる)
  6. ふりかえる(結果を見てまた観察する)

このループを回すことで、
あなたは少しずつ“観察的な視点”を身につけ、
会議を変えることに繋げていくことができます。

【実践編】5分でできる「観察ワークシート」

このような取り組みは、最終的な改善までに時間がかかったり、わかりやすい評価軸で測れないことも多いことでしょう。

観察のコツをつかむために、ワクワク会議ラボでは以下の簡単なワークシートをおすすめします。
印刷して使っても、スマホのメモでも構いません。

📝 会議観察ワークシート(1回5分)

項目記入例
1. 会議のテーマ例:新商品の販売戦略について
2. ツッコミを入れたくなった瞬間「また上司が話をまとめようとしてる」「誰も意見を言わない」
3. その時の自分の感情モヤモヤ、焦り、あきらめ、笑い、安心…など
4. その場で起きていたこと(事実)Aさんが3分ほど話し続けていた/Bさんがうなずいていた
5. その行動の“理由”を想像すると?Aさんは意見を通したいのかも/Bさんは反対したくなかったのかも
6. 自分がその時どう関わっていたかメモを取っていた/目をそらした/心の中で「またか」と思っていた
7. 一言まとめると?この会議、みんな“波風立てない”を優先してる気がする

まとめ:今日からできる「観察チェックリスト」

会議を変えるための第一歩は、「対策」ではなく「観察」です。
観察とは、会議中に感じた“違和感”や“ツッコミたくなる瞬間”を丁寧に受け止めること。
その違和感こそ、チームの力学や関係性のサインです。

「なぜこの人ばかり話すのか」「なぜ誰も反対しないのか」といった現象には、必ず構造的な理由があります。
それを理解せずにルールや進行方法を変えても、すぐに元に戻ってしまいます。

観察の実践はとても簡単です。
気づいた瞬間をメモし、感情と事実を分けて書くだけ。
その積み重ねが、会議の“見えない構造”を見える化し、チームを根本から変えていきます。

つまり、会議を変えるとは、他人を変えることではなく、自分の見方を変えることかもしれません。
静かな観察こそが、場を変える最も確実な最初の技術なのです。

おわりに:観察は「最も静かな改革」

会議を変えるためにかならずしも派手な仕組みは必要ありません。
まずは「観察する」という静かな行動から始めてみてください。
それは、表面をいじる改革ではなく、
人と人の関係性そのものを見つめ直す“最も静かな革命”です。今すぐできる簡単な第一歩が実を結ぶことを応援しています。

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