「いいアイデアを思いついたんだけど、ちゃんと採用してもらえるかな」
「せっかく考えたアイディアが、全然受け入れてもらえない…」
「なんだよ、そんなに強く否定しなくたっていいじゃないか」
と感じたことはありませんか?
組織やチームで新しい提案をする、それ自体が大小問わず成長や変革をもたらす貴重な機会です。反面でうまく採用されるとも限りません。自分で主体的に動いたせっかくの勇気を躊躇いもなく否定してくる人もいるでしょうし、そんなことがチラつくとアイディアを発言することが怖くなってしまう事もあるでしょう。
こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗を重ねてきました。
今回は、あなたの提案を成功に導くための具体的なアプローチや、否定された時の賢い対応策をお伝えします。どんな状況でも、自分のアイディアを自信を持って伝えられるようになるためのヒントを探ってみましょう。
- アイディアが採用されることの本質がわかる。
- アイディアが採用されるための要点が掴める。
- アイディアを否定されてもへこまなくなる。
大原則 それは相手目線でも魅力的か?
絶対に外せない大原則として、相手にとって魅力的なアイディアかどうかという視点を持ちましょう。自分で思いついたアイディアは自分で惚れ込んでいます。その時相手からも魅力的なのかついつい見落としがちになってしまうのです。具体的にどうすればいいか見ていきましょう。
アイディアを受け入れてもらうための8つのコツ
1. 相手のニーズや課題を理解することが第一歩
アイディアを提案する前に、まずは相手のニーズや課題を理解することが重要です。上司やチームメンバーが直面している問題や期待している成果に対して、自分のアイディアがどう役立つのかを示すことが必要です。相手の視点に立つことで、アイディアがより効果的に受け入れられる可能性が高まります。
そんなの、言われなくてもわかってるよ。
と思うでしょ。でも相手にそぐわないアイディアだった場合、きっと相手は「こいつ、分かってないな」って思うだろうね。そうならなくて済むように出来るんだ。
具体的なアクション
- 上司やチームのミーティングで、現状の課題や目標について確認する。
- 曖昧な言葉が含まれいたら、その定義も含めて確認する。
この時点では確認をする、に留めます。先走って課題や目標の確認ついでにアイディアを発言してしまうのは、否定されるリスクがあります。確認自体は、そのことを良く理解しようとする姿勢になるので基本的には好印象と捉えてもらえるでしょう。
曖昧な言葉って例えばどういうものですか?
その質問自体がまさしく体現しているね。「曖昧さ」は何を指しているのかわからないよね。
曖昧さは形容詞や比喩表現に含まれます。
例
- 「しっかりと」→何をもってしっかりと、なのか
- 「快晴のような青さ」→快晴の青さにもいろいろある
その他、目に見えない動詞や行動表現にも曖昧さがあります。
例
- 「情報を届ける」→届いたかどうかが良くわからない
- 「積極的に動こう」→何をもって積極的なのか、動くとは具体的に何をすることなのか
- 「感謝の心で接する」→心は見えないので確認しようがない
確認が細かすぎて嫌がられませんかね。というか、そこまで細かく目標や課題を理解できている人はそうそういない気がします。
嫌がられるかどうかは、相手の課題でこちらの課題じゃないし、それよりも成果を出すことが大事だよね。明瞭な目標でなければ目指しようがないよ。そしてそれこそがすれ違いの元じゃないかな?
2. データや根拠を基にした提案の準備
具体的なデータや調査結果を用いてアイディアの効果を裏付けることは、説得力を高める有効な手段です。単なる感覚や直感に基づくアイディアよりも、データに基づいた提案は、上司やチームメンバーに受け入れられやすくなります。
具体的なアクション
- 自分のアイディアに関連する市場調査やデータを集める。
- 競合他社や他部門の成功事例を調査し、自分のアイディアに効果的が見込めそうか確認する。
3. シンプルかつ明確なプレゼンテーションの準備
アイディアをシンプルで明確に伝えることは非常に重要です。複雑でわかりにくい説明では、相手の理解が難しくなり、受け入れてもらえない可能性が高まります。簡潔でわかりやすい言葉を使い、論点を整理して伝えることを目指しましょう。
具体的なアクション
- プレゼンテーションのスライドや資料は、必要最低限の情報に絞る。
- アイディアの核となる部分を一言で説明できるようにする。
そこまで大きなアイディアの話しじゃないんですけど・・・
じゃぁなおさらだね。一言で相手の注意、関心を得られるような工夫が大事じゃないかな。
4. 相手の反応を観察し、柔軟に対応する
アイディアを提案する際には、相手の反応をよく観察し、必要に応じて柔軟に対応することが大切です。もし相手が疑問や懸念を持っている場合、それを無視せず、丁寧に対応することで、確認から漏れていた条件がわかったり、信頼を得ることにもつながります。
え・・・っと、まだアイディアは伝える前なんですが。
そうね。ここでやってみてほしいことがあるんだ。
自分のアイディアを発言し、そのレスポンスを受け取ることに不安がある人は、まず、無関係の他者の事例をそれとなく話してみましょう。そのことによって、相手がどんなことを気にしているか、目標以外に抑えるべき条件を知る手がかりが掴めますし、アイディア提案の準備事項が見えてきます。
具体的なアクション
- 提案中(類似の事例紹介中)に相手が質問したり、考え込んだりしたら、すぐにその点に対応し何を気にしているか質問してみる。
- 提案(類似の事例)内容をその場で調整し、相手の意見を反映させたらどうなるか話を展開してみる柔軟性を持つ。
例
前提状況:人材確保を見越し(目標)、地元地域での認知度を高めることが課題という状況で、マスコットキャラとして会社の緑地でヤギを飼う事を思いついたとする。
会社で生き物を飼ったことがない現状で、ヤギのアイディアはハードルが高そう。
そこで、知り合いの務めている会社でヤギを飼う検討をしている話を聞いたと、会話に差し込んでみる。
その話を聞いた上司やチームメンバーの反応を観察する。
なるほど。リスクがない。
仮に前のめりで食いついてきたとしても、焦っちゃダメ。沢山しゃべってもらって、何がヒットしたのか分析材料を集めよう。
5. 実行可能性を備える
ただのアイディアだけでなく、それをどうやって実行に移すのか具体的なプランを示すことも重要です。実現可能なステップや時間軸を添えることで、現実的な提案として受け入れられやすくなります。
具体的なアクション
- アイディアを実現するためのステップやスケジュールを具体的に提示する。
- 実行にかかるコストやリソースを明確にし、それに対する解決策を用意する。
特に、新しい活動が始まるようであれば、現状の様々な活動と時間の配分を分けることになるので他の活動への悪影響も想像する視野が必要です。
6. チーム全体への利益を強調する
アイディアが組織全体やチームにどのようなメリットをもたらすかを強調することが効果的です。個人の利益ではなく、組織全体にとっての価値を示すことで、共感を得やすくなります。
具体的なアクション
- アイディアがチーム全体の生産性向上やコスト削減にどう寄与するかを説明する。
- アイディアが成功した場合、組織にとっての長期的な利益を示す。
多くのアイディアが上司に却下される原因は大抵これです。上司の視座から考えると、提案のアイディアには様々な懸念があることに、提案者が気づかないのです。
いやいや、私のアイディアはチームのメリットもばっちり含まれてます。
その「ばっちり」が、上司の思うところとずれている可能性があるのよ。
7. フィードバックを積極的に求める
アイディアを提案した場合、フィードバックを積極的に求める姿勢を持つことが重要です。提案に対する意見を柔軟に受け入れ、アイディアをさらに改善していく姿勢があることを示しましょう。
具体的なアクション
- 提案の最後に、相手からのフィードバックを求め、改善点を聞く。
- フィードバックを基に、次のステップを考え、アイディアを改良する。
フィードバックが辛辣だとメンタル持たないです。
メンタルについては後半で説明するね。フィードバックはアイディア採用のヒントがいっぱい詰まっているはず。お宝だと思ってみて。
フィードバックの中には、応援を前提としたものから、人によってはそもそも否定が目的の参考にならないものも含まれるのが現実でしょう。また、相手も対象の内容に詳しいとは限らず、応援であっても的が外れているものもあります。冷静に受け止めて前に進むか、ネガティブな意見を元に諦めるか、ある意味ではここがアイディアを推し進めるものにとっての試されどころです。
フィードバックを聞くことによって、もしかしたらアイディアを一緒に推し進めてくれる味方が見つかるかもしれません。また、世話好きの人であれば否定しながらも気にしてくれる、ということもあります。巻き込めるチャンスかもしれません。落ち着いてさまざまに気づきや学びのアンテナを立てましょう。
8. タイミングを見極める
アイディアの提案にはタイミングも大きな要素です。相手が忙しい時や重要なプロジェクトが進行中の時に提案するのは避け、適切なタイミングでアイディアを持ちかけることが成功のカギとなります。
具体的なアクション
- 相手のスケジュールやプロジェクトの進行状況を把握し、最適なタイミングを探す。
- 相手を良く知る人にタイミングについてアドバイスをもらう。
- ミーティング前に、提案のための時間を確保してもらうように事前に相談する。
アイディアが否定された場合の対処法
アイディアがすべて受け入れられるわけではありません。時には、却下されることもありますが、それが必ずしも悪いことではありません。ここでは、アイディアが否定された場合にどう対処すべきかについて解説します。
知ってると便利なメンタルの話
そうそう、ここ知りたかったです。
早速いってみよう。ヒントはアドラー心理学だ。
まず結論を先に。アイディアを否定されたのは機能を否定されただけで、存在を否定されたわけじゃないという事を自分に言い聞かせよう。
アドラー心理学より
機能価値:能力やできることの重み
存在価値:存在そのもの
つまり、アイディアが否定されただけ、自分が否定されたわけじゃないという事です。多くの場合、人は自分で思いついたアイディアにあたかも自分を投影した愛着を持ちます。するとアイディアの否定によって自分も否定されたと混同してしまうのです。
相手が機能と存在を分けてフィードバックしてくれるのであれば、大変ありがたいことですがそんな人は稀です。
具体的にどういうこと?
言葉遣いでわかるよ。
例
「アイディアをありがとう。考えてくれたんだね。ただ、もう少し改善が必要だね。例えばこれだと・・・・」
前半に、アイディアを提案してくれたことに対する感謝、存在の肯定表現があります。後半は機能についての話しです。
あー、妻の美味しくない手料理に感想言う時の感覚かー。
良くわかるね、というか奥さんいたっけ?
手料理やプレゼントなどはまさしく同じ状況になります。相手の姿勢に感謝がまずあり、関係性によりますがその後で感想を伝える。今回はアイディアを却下された側なので、少なくとも自分で機能と存在を分けて受け止めましょう。
1. 冷静に受け止める
アイディアが否定されたとき、感情的に反応しないことが重要です。否定されたことに失望せず、なぜその判断が下されたのかを冷静に理解しようと努めましょう。
具体的なアクション
- 否定された理由を相手に尋ね、なぜその判断に至ったのかを確認する。
- 提案内容に対する改善点や課題を冷静に受け入れる。
相手が怒っちゃって話してくれないケースもあります。
怒っちゃったら、まぁそれは相手次第なので仕方ないね。相手からすると「分かっていなさすぎ」ということだから、ある意味じゃぁ期待されているんだよ。
2. 否定された理由を深掘りする
ただ単にアイディアが否定されたことに落ち込むのではなく、具体的な否定の理由を理解することが大切です。上司やチームが何を懸念しているのかを把握し、その課題に対処することで、次に繋げることができます。
具体的なアクション
- 「何が問題だったか」「どう改善すれば良いか」といった質問を投げかけ、具体的なフィードバックを得る。
- 否定の理由に基づいて、次回の提案に向けた改善点を見つける。
3. 改良の余地を探る
否定されたアイディアにも改良の余地があるはずです。フィードバックを元に、どの部分を修正すれば受け入れてもらえるのかを考え、改良を加えて再提案する姿勢が大事です。
具体的なアクション
- 否定されたアイディアを再度検討し、フィードバックに基づいて改良する。
- 改善案を基に、新たな提案を行う。
否定されたショックでここまで考えられなそう・・・
ちょっとの厚かましさを載せちゃえば、次のようにもできるよ。
例
「ちなみに○○さん(上司)だったらどう考えます?」
「○○さんは何か過去にトライしたことがあれば参考に聞かせてほしいです」
4. 他の視点からアプローチする
場合によっては、同じアイディアを異なる視点から提案することも効果的です。アプローチを変えることで、より説得力を持たせることができます。
具体的なアクション
- 新しいデータや事例を用いて、違った角度からアイディアを再提案する。
- 相手の意見を取り入れ、アイディアを調整する。
これができれば最初からやってますって。
確かに!まぁヒントになる思考法があるから今度紹介するね
5. 次のチャンスを待つ
時には、アイディアが時期尚早であったり、タイミングが合わなかっただけで否定されることもあります。その場合、無理に再提案するのではなく、適切なタイミングが来るまで待つことが重要です。
具体的なアクション
- 組織の状況やプロジェクトの進捗に応じて、適切なタイミングを見計らって再提案する。
- 時間が経つことで、同じアイディアでも受け入れられる可能性が高まることを意識する。
こんなことあるんですか?
そうだね。状況が変わることでアイディアに合致する問題が生じる場合もあるよ。チャンス到来。
6. 学びを得て次に活かす
否定された経験は、次に活かすべき貴重な学びの機会です。どんな失敗にも改善のヒントが隠されています。次の提案に向けて、学んだことを活用し、成長を続けましょう。
具体的なアクション
- 提案が否定された経験を振り返り、どの部分を改善すべきかをリスト化する。
- 次回の提案に向けて、フィードバックを反映させた新たなアイディアを準備する。
まとめ
アイディアを組織内で受け入れてもらうためには、陥りがちな自分だけの視野を疑い、相手の視点を理解し、根拠やデータを用いて説得力を持たせることが重要です。また、アイディアが却下された場合は、冷静に受け止め、改善のチャンスと捉えることが成長の鍵となります。失敗は学びとセットになっているものです。財産になる体験と思って、常に前向きにアイディアを提案し続ける姿勢が、やがて組織に大きな変革をもたらすでしょう。
本稿をお読みの方のように、何かを起こそうと行動する人が組織や社会を変えていきます。とても貴重な存在です。当ラボはそんな方を応援します。
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