「いつ終わるんだ?」
「もう予定時刻は過ぎているのに。」
「参加者側としては切り出しにくいなー」
終わりの見えない長い会議にはイライラしたり、不安になったりしますよね。
こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗を重ねてきました。
そこでこの記事では、私が模索してきた長い会議を短くする工夫をご紹介します。会議に参加する側としてできることだけでなく、仕切る側にできることも解説しますので、ご自身の会議の関係者にシェアすれば、さらに長い会議が解消されるでしょう。
- なぜ長くなるのか分析力が高まる
- 参加者としての対処法が分かる
- 仕切る側としても対処法が分かる
長い会議はもう仕方のないことだと思ってました。
そう思うのも無理はないよ。でも沢山の工夫があるからきっとできることが あると思うよ。
かく言う私は、初めて会議を仕切るようになった頃、予定時間を1時間以上オーバーで開催していました。しかも
「今日の話は重要なんだから閉会時間は過ぎたけど、皆もっと話し合おうよ」
などと思っていました。でも徐々に時間の大切さや考え方の間違いを理解し、対策を重ねてきたので今では時間きっちりで終わることが出来ています。さまざまな手法を参考にしていただけたら幸いです。
長い会議の何がいけないのか
長い会議は、多くの出席者にとって苦痛なだけでなく、生産性を低下させるという組織にとっては一番望ましくない影響を及ぼします。
・予定時間をオーバーする意味での長い会議
・設定した時間そのものが長い会議
・議論が浅く充実していないために長いと感じてしまう会議
どの面でも改善すべき問題と言えます。
組織は必ず高い生産性が求められます。商品を作る会社であれば、100個作れる時間で101個作れる方が望ましいわけです。
では会議では何が作れるでしょう?
何も作れません。もっと正確に言うと会議自体はモノやサービスを生み出せるわけではなく、その土台となる共通認識を作ることが出来ます。つまり、会議は組織の生産性の下支えと言えます。
会議が長くなるということは、その分、モノやサービスを生み出す時間を使ってしまっているということになるので生産性を低下させてしまっているわけです。
予定時間内に、必要十分な議論を行い、参加者が充実感を得られる会議を目指したいところです。
要因1.話が長い人の影響を受ける
話が長い人は、話したがりだったり、自分の考えをまとめられていないなどの特徴が考えられます。また、自分の話が長いと思われていることに気づいていないケースもあります。それを踏まえた対処になります。
仕切る側
・事前の調整
会議が行われるよりも数日前など余裕をもって話が長い人の話を聞きに行くといいです。
「えー一人で長い話に付き合うのヤダー」って思う方もいるでしょう。
でも、1対1の話であればキャッチボールしやすくなるので、会話をまとめる介入がしやすく、会議で一方的に話されるより早く終わらせられます。
また、会議では聞き手が多くなる分、時間コストが人数倍に増えてしまうので話が長い人への対処は組織的なコスト削減になります。
事前に済ませた話を会議に持ち込む必要が有れば、その際
「○○さん(話が長い人)は・・・とおっしゃっていたので」
などと意見の紹介をする程度に収めることができます。
・グラウンドルールの活用
会議開始直後に、会議においてのルールを決めるといいです。「発言は手短に」という大まかなルールでもいいですし、「発言は1分/回くらいで」などと具体的にすることもできます。
仕切る側が勝手にルール設定すると反感を持たれそうであれば、全部で3つくらいのルールにして
幾つかは参加者で考えてもらってもいいでしょう。
いざ会議が始まり、長い話になり始めたらベルを鳴らす、ホワイトボードをノックして音を立てる、
「恐れ入りますが・・・」と話に割り込むなどが考えられる対処です。
体裁として、自分が話しを止めるのではなく、みんなで決めたルールだから守ろうね、という意味合いにできるのがグラウンドルールの良い点です。
参加する側
・適切な介入
話し手が話始めると、どうしてもその他の人は、黙って聞き、受け止める側になりがちです。なので「なるほど」「へー」などの相槌を敢えて発言しながら、要所では「それって・・・」と関連性をにおわせる発言で自分が話すターンに変えることができます。
注意点
多くの人は話を聞いてほしいものです。話が長くても止められるとあまりいい思いをしないかもしれません。そんな相手への配慮も含めたいところです。
「もっとお聞きしたいのですが、他の人にも聞いてみたい」とか
「また改めてお聞かせください」など
投げかける言葉で配慮を表現できると場の空気を悪くしないで済むでしょう。
要因2.話が脱線し議論が進まない
話が脱線するほど、場が温まっているいい状態とも置き換えられます。ただ、
「脱線の内容が本線に戻るタイミングがあるのだろうか」とか、
「本線に戻す介入は水を差すようで気が引ける」とか、
「そもそも何を話し合っていたんだっけ」など
いろいろ気をめぐらせなければならないので大変な状況です。それを踏まえた対処になります。
仕切る側
・議題表現の工夫
議題が「○○について」という表現だと脱線が起きやすいです。「○○について××という判断でいいか
合意形成する」など、具体的に目指す終わり方を記載しておくといいです。
前者の状態だと参加者が論点を勝手に解釈する余白が広いからです。
また、書き出したものが手元にあれば仕切る側がいつでも確認でき、テンパることを予防できます。
・ホワイトボード(画面共有)の活用
脱線した議論が行われている状況でホワイトボードに本線の論点を書き出しましょう。
言葉で介入することなく参加者に本線を意識してもらうきっかけになります。
リモート会議では議事録ウィンドウを画面共有し、論点を書き出すことでリアルの会議よりかなり強制的に本線を意識してもらうことができます。
参加する側
・(わからないフリで)聞いてみる
「ごめんなさい、ちょっとわかんなくなってしまいました。この話は議題とどう関係してます?」
などの介入ができると本線に戻るきっかけになります。言われた側も気分を悪くせず本線を意識する
ことができます。
要因3.意見をまとめられず時間が過ぎていく
まとめるだけのスキルがある人とそうでない人でできることが変わります。後者を踏まえた対策となります。
仕切る側
・時間の配分
あらかじめ意見をまとめる時間を用意しておきましょう。その上で時間いっぱいになりそうであれば
「私たちは意見がまとまらなそうな状況にありますが、次回へ持ち越しさせてもらっていいですか?」
など参加者みんなで判断する投げかけをおススメします。
まとめ方が得意な方が仕切り役を変わってくれる可能性もありますし、次回へ持ち越しできればそれまでに対策を練ることができます。仕切る側個人が背負いすぎないということもチームワークという意味で大切です。
・お題の再確認
意見の内容にもよりますが、多くの場合はまとめる前の意見出しの際に条件設定が不足していたり、AをたてるとBがたたない、その逆も成り立つなどのトレードオフになっていたり、いくつもの制約をクリアしようとして、問題を細かく分けられていないなど、まとめる段階よりも前の段階に戻る必要があることも考えられます。
参加する側
・疑問の投げかけ
まとめることにあまり意識せず、発言された意見の不明な点や、発言された言葉の定義などを質問してみましょう。それらを明確にしていく途中でまとめる打開策が見えることもあります。
例「ここで言う顧客満足って具体的に何のことです?」
「そもそも達成したいことって何でしたっけ?」
「Aの発言とBの発言って微妙に違う気がするですけど・・・」
要因4.閉会の時刻が迫っても議題を消化しきれない
もともと議題毎の時間配分に無理があったか、想定外に議論が長引くような状況を踏まえた対策になります。
仕切る側
・事前の確認
議題毎に担当者がいるようであれば、担当者の想定する議論に必要な時間を確認しましょう。
5分程度ゆとりをもたせると時間内で終わらせやすくなります。加えて、一番大事な論点は何かも確認しておくと議論の的が絞れて時間の有効活用ができます。
・優先順位をつける
会議開会後、議題と時間配分に加えて、議題毎の重要度を確認し合い、閉会が近づくタイミングで重要度の低い議題は次回に繰り越すなどの調整を参加者一同でやってみてはどうでしょう?
・非同期対応の活用
連絡事項や日程調整など簡単なやり取りは組織内チャットを使うと会議中の時間を割かずに済みます。ちなみにメールはおすすめしません。なぜなら冒頭や締めの定型挨拶を打ち込む分だけ面倒が増えますし、既読のレスも面倒です。
定型挨拶の例「○○様 お疲れ様です、××です。」「以上、宜しくお願い致します。」
また、そのキャッチボールが1往復を越えるようであれば、会議中のやり取りに持ち込むか、当事者同士の面会で進めましょう。テキストでのキャッチボールが増えるほど、解釈の幅が増えるため誤解が生じやすくなります。
参加する側
・前もって確認をとる
会議前に内容の連絡が来るようであれば、議題担当者に「重要な論点って何ですか?」とか「○○が重要な論点ですかねぇ?」などと直に投げかけてみましょう。それをもとに意見などの準備ができるかもしれないですし、議題担当者が重要な論点を考えるきっかけにもなり得ます。会議前に事が進み話し合う必要が無くなる可能性もあります。
会議の最中でも上記確認は有効です。重要性をもとに議題の優先順位を検討し、時間内でこなすべき議題を絞ることに繋がります。
要因5.会議の時間枠に関係なく、つまらないから長く感じる
つまらないという感覚は主観のものなので、計測はできませんが、参加者のレスポンスやいわゆる場の空気で感じ取れる対策になります。基本的に、人は自分の話をしたがるものですし、自分の意見が他者に貢献できるとうより充実感が高まるのでそのための工夫をしましょう。
仕切る側
・確認する
議題が参加者本人にどう影響するのか確認を取ると、参加者自身が話し合う意味を整理でき、つまらなさの軽減につながります。会議冒頭で一言挨拶のように発言してもらうことや、リモートであれば会議チャットに書き込んでもらうことなどのアクションをお勧めします。
参加する側
・観察する
自分にとってどうしてもつまらない状況はあり得ます。せっかくなので参加者の癖や傾向などを観察してみましょう。ゆくゆくご自身が会議の議題を担当したり、仕切る場合の対策に繋がります。
要因6.1人1人の発言を一つずつ対処している
誰かが発言し、他の方がレスポンスし、それをもとに意見交換が広がり、検討、判断し、他の方が別の発言をし、同じステップを繰り返す。そんな状況を踏まえた対策になります。
仕切る側
・付箋やスプレッドシートを活用する
リアルであれば、5×10cm程度の付箋とサインペンを用意し、個人的意見を書き込んでもらいましょう。その際、
「この後張り出して、皆で見合うので大きめに簡潔に書いてください」
と補足しましょう。
各自の意見を同時進行で明らかにすることと、全員で理解し合うことが出来ます。付箋のサイズを大きくすれば文章が長くなり具体性が増しますが、一方まとめ直す手間が増えます。程よいサイズを選ぶことをお勧めします。
リモートであればGoogleスプレッドシートを用意しリンク共有して同時に書き込むやり方で、付箋のようなやり取りが可能です。ITリテラシの問題で適応できない参加者がいれば他の方に書き込みを代行してもらうことも可能です。
・小グループを作り、意見をまとめてもらう
リアルでもリモートでも、4名以下程度にグループを作ってもらい、制限時間内で話し合ってもらうことで時間短縮ができます。発表時には誰の発言かを伏せることもができるので、忌憚のない意見交換がやりやすい一方、グループ内の話合いを仕切る人の技量が影響するので少し難易度の高い方法になります。
参加する側
・要点をしぼる
結論、根拠などの要点を絞った発言を心掛けましょう。仕切る側が助かりますし、他の参加者も真似てくれるかもしれません。
・会議チャットを活用する
リモートであれば、会議チャットに発言の要点を書き込むことで自分の発言の時間短縮ができます。ジャストタイミングを狙う努力があまり必要ない点がやりやすいです。
以上、思いつく限りの対策をご紹介しました。トライしてみて、その結果を次のトライに活かしながら、長い会議を解消しましょう。
ということで、今回は長い会議をなんとかしたい方に向けて6つの要因とその対処法をご紹介しました。ご参考になれば幸いです。
必須のスキル
さて、ここまでさまざまな会議を短くする手法をお伝えしてきましたが、今後も会議を変えていく上でおススメしたい必須のスキルがあります。
「原因の分析」ということです。
議論を俯瞰する習慣が付き、様々な手法を臨機応変に実行できるようになるからです。
分析なんて難しそうで僕にもできますかねぇ?
分析が正しいかどうかは実はそんなに重要じゃないんだ。
原因の見当をつけて対策し、上手くいかなかったとしても学びが得られる、この積み重ねが重要です。
なぜなら会議の議論は千差万別で、事前に用意した対処が上手く使えるか、見立てた効果が出るかなどは分からないからです。
原因分析のやり方ですが、より専門的なことは専門書籍に任せるとして、具体的には
何が原因なのか・・・?
なぜ長くなるのか・・・?
など自問することから始まります。
ただ、その解答を独り言のように呟くことが重要です。人と話しているうちに自分の考えが整理されることってありますよね。それを意図的にやればやっただけ原因の分析精度は上がっていきます。
「あれ?もしかして・・・ということか?」
と見当がついたらそれに応じた対処を試してみましょう。その結果をもとにまた見当をつける、の繰り返しです。
まとめ
以上、【イライラする長い会議】参加者側でも短くできる方法6選としてご紹介しました。仕切る側の工夫も掲載しているので、ご自身が仕切る側を担う際にも参考になるのではないでしょうか。
要因1.話が長い人の影響を受ける
要因2.話が脱線し議論が進まない
要因3.意見をまとめられず時間が過ぎていく
要因4.閉会の時刻が迫っても議題を消化しきれない
要因5.会議の時間枠に関係なく、つまらないから長く感じる
要因6.1人1人の発言を一つずつ対処している
会議が長いと感じたら、「長い理由は何だろう?」と考えてみてご紹介の工夫を実践してみてください。
私が会議に不慣れな頃は、20名程度の参加者の会議で1時間オーバーをしていました。ということは20名 × 1時間 × 参加者の時給(換算)円を使っていたことになります。
多くが経営者でしたので彼らの年収を仮の時給換算で1万円とするなら合計20万円を消費していたことになります。