「会議で意見交換がなんだか荒れる」
「議論の結論まで行きつかずに時間を使い果たしちゃう」
「会議って何かしら進め方があるんじゃないの?」
毎日元気よく仕事に向かっても、会議が終わるとなんだか疲れてしまって気づいたら作業も捗っていない、なんて方はいらっしゃるのではないでしょうか。
こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗を重ねてきました。
無駄に感じる会議が多くて会議が予定されているだけでなんだか億劫になります。
わかるよ。それは会議が原因じゃなくて、会議の進め方に課題があるんだ。
そこでこの記事では、会議の流れ4ステップを解説します。会議を簡単に行うための基本的な考え方なので、会議でのさまざまな困りごとを減らす効果が期待できます。
- 会議の全体像がわかり、無駄な会議が減らせる
- 会議の状況を理解しやすくなり、意見交換に慌てたり疲れたりしにくくなる
- 効果的な会議が実践しやすくなり、信頼や評価が高まる
参加者側であっても、会議の全体像が分かれば適切な発言がしやすくなります。また、仕切る側のサポートもしやすくなるため、信頼や高評価につながるでしょう。
結論 会議の流れは4ステップ
前提で議論の前に情報を確認しあい、発散で広く意見を集め、収束で集めた意見の検討や選別をし、決定で合意形成するという4ステップです。
ちなみに会議には、連絡会議、検討会議、意思決定会議、問題解決会議など大きく4種類あり(オンライン会議の教科書 著:堀公俊より)必要なステップまで進めます。
そもそも会議とは
会議がどんなものかというと、一般的には「関係者が集まり、特定の目的(議題)に関して意見交換・審議し、合意・施策などの意思決定をすること、およびその物理的構成員の集まりを意味する。」(ウィキペディアより)とのことですが、なんのために行うのかといえば
組織が成果を出すために、関係者で共通認識を作ることと言えます。例えば
- 成し遂げるゴールのイメージ
- 状況把握
- 問題の対処法やその役割分担
などが共通認識されます。共通認識が充実するほどチームワークが発揮され(それぞれの役割や成果が相乗的に良い意味で影響し合い)成功に繋がります。
大勢でBBQをやるとして、全員がお肉しか持ってこなかったり、焼きたいタイミングで火がなかったら困るよね。
そうか、役割分担もタイミング調整も分かり合えているほどうまくいきますね。
共通認識は作業中に当事者同士の話し合いによって作られるものもありますが、人数が多い場合や、節目として行おうとするときに会議が開催されます。
会議のステップを知っているだけでやりやすさがアップ
会議のステップは参加者と思考の足並みをそろえて進むためのものです。
ステップを踏まえずに、とりあえず集まれば話し合いができるだろう、などと考えて会議を始めると
一つの発言にすぐ否定意見が出て発言しづらい雰囲気になったり、
途中まで進んだ議論がそもそもの必要性を問われ振り出しに戻ったり、
会議の終了時刻が迫っているのに賛成反対の意見がまとまらなかったり、
様々な問題が起きます。
これらは何が原因かというと、参加者がそれぞれ違う視点で物事を見ているということです。例えばコップに水が半分入っているのを見て、ある人は「半分もある」と思っていても、別の人は「半分しかない」と思っています。「コップが汚れているな」とか、「この水は真水?塩水?」なんてことを思う人もいるでしょう。
ところが、会議参加者の一人が水の量が少ないことを気にしていた場合、ほかの人も水の量が少ないことを気にしているだろうと自分と同じ視点だと勝手に思い込んでしまい、確認をとらずに議論を始めてしまう結果ちぐはぐになり問題が起きてしまうわけです。
では各ステップをご紹介します。
ステップ1 前提
参加者の物事の捉え方を揃えるために、情報を共有しあうステップです。
思わぬところで食い違いが起きないように丁寧に確認しあうことが必要です。共有しあうべき情報をリストアップしそれぞれに具体例をそえてみます。
- 会議の次第や時間配分など(この会議のおおまかな全体像)
- 今から1時間で、AとBを話し合います。Aに20分、Bに40分が目安です。
- 議題のいきさつ(なぜ話し合う必要があるのか)
- 夏に控えたイベントに向けて、AとBの問題がおきています。対策を今決めておかないと準備に間に合いません。
- 会議の目的(話し合いに結論を出すことで、どうなりたいのか)
- AとBは私たちの目標であるイベントで20%集客アップに影響します。
- 議題の基礎となる情報(起きた事実、関係者のとった行動など)
- AとBにあたっては、先日こんなことがあり、過去のデータとお客様からご感想を踏まえて、社長からは指示が出ています。
- 議論の終了条件(どこまで決めたいのか)
- この時間で、最低3つは対策を決めて、担当者を割り振りたいところです。
今向き合うべき議論に時間をあてはめ、必要性、方向性、材料、議論の明確なゴールなどをリストアップしました。
具体例については、仕切る人のセリフとして書き出しましたので、「・・・と認識していますが間違いないでしょうか?」のように確認をとるといいと思います。仕切る側が一方的に伝えるだけでなく、思い違いをなくすつもりでちょっとした意見でも発言してもらうと確認が充実します。口頭だけで心もとないようであればアジェンダに書き出しておくことも効果的です。
アジェンダは前提のタイミングでとても役に立ちます。詳しくはこちらも参考にしてください。≫【会議アジェンダの裏技的な作り方】会議が劇的に変わる7つのヒント
ステップ2 発散
前提をベースに意見を広く集めるステップです。ここで何より大切なのは3つです。
- 1つの意見に集中しすぎない
- あいまいな表現を避ける
- 出た意見への否定は次のステップに回す
いわゆるブレインストーミングの段階で、参加者がそれぞれ違う視点で物事を見ていることを利用して意見を出し合います。おもちゃ箱をひっくり返すがごとく、制約を設けずに出すことがポイントです。
発言をホワイトボードに書き出すという方法以外に、付箋を使ったり、リモートであればチャットやスプレッドシートを使うことも効果的です。1つの意見で議論が始まってしまうことは発散の目的からはずれるので避けましょう。また、あとで整理、取捨選択をするためあいまいな表現を避けることも大事です。
例えばですが、「しっかり教える」という意見があったとしましょう。
「しっかり」も「教える」も曖昧さがあります。「しっかり」は形容詞、「教える」は複合的な行動(言う、書く、確認するなど)だからです。「今まで5分かけていたものを10分かけて、最後に復唱してもらう」だと曖昧さがなくなります。
また、出た意見にすぐに否定が添えられると、否定が怖くて意見しにくくなる可能性があります。
このステップは、一番楽しみながらでき、盛り上がるタイミングでもあるので、一切の否定は次のステップに回しましょう。
そもそも発言が出にくい場合は詳しく解説している記事がありますので合わせてご参考にしてください。≫【会議で発言しない人への対処9選】発言しない人の心理も踏まえて徹底解説!
最後にとても重要なことを添えておきます。
意見が出たこと自体を「よかったね」と分かち合うことをお勧めします。なぜなら今後も他の会議で発散のタイミングがあるからです。継続的に良好なチーム作りに影響します。
「おかげで沢山意見がでました。お互いの貢献に拍手!」(手をたたく)
ステップ3 収束
全員で冷静に意見の取捨選択をするステップです。3つの要点を挙げると、
- 選別の基準を明確にする
- 否定意見はただの懸念でしかない
- ベストが無ければベターでもいい
などがあります。
沢山挙げられた意見に対しまず最初にやることは、類似する意見のグループ化です。ひっくり返したおもちゃを、車、ブロック、風船、ボールに分類する感覚でグループ化してみましょう。どんなグループが適正かは、やってみてから気づくこともありますので、(色で分け始めたが、大きさで分けた方が良さそう)まずはトライです。
分けづらいものがあれば、そういうものとして分けておくということでも構いません。グループ化という行動自体が選別の基準を参加者同士で意識し始めていることになるからです。
選別の基準には、すぐに出来そう、効果が高そう、影響範囲が広そう、なども使えると思います。
中には否定意見もあると思います。そのまま取り扱うと閉塞的な雰囲気になるので、クリアすべき課題の一つ、懸念事項の一つとして表現しなおすこともよい工夫になるでしょう。
誰が言ったかに焦点を当てないことも重要です。意見が否定された場合、人格の否定と勘違いすることがよくあるからです。
ステップ4 決定
合意や同意を確認し合い、参加メンバーで決めたことという事実を作るステップです。
意思決定会議では同意、問題解決会議では合意の形成をすることになります。(参考 オンライン会議の教科書 著:堀公俊)
わかりやすく違いを説明すると、
「自分は違う意見だけど決まったことに従うよ」という方がいてもよい決定が同意で、参加者全員が「これは私も納得している決定だ」と意見がそろった状態が合意です。
採用したいアイディアがいくつもあり、甲乙つけがたい場合は、多数決、責任者の権限、担当者の情熱などで決定することができます。この時は合意された状態と言えます。
逆に選ばずに保留するのは現実が何も変わらないことになるのでお勧めしません。まず取り組みとして進めて、失敗だったらそれが学びになりほかの選択ができますし、組織としてはノウハウが溜まる機会になります。
決定事項が前提で確認し合った内容に対して適正かどうか確認し合いましょう。また、決定まで進んだことは、会議参加者の協力の賜物です。いくつもの議題がある場合は特にですが、決定事項の復唱をしましょう。必要に応じて、どなたかに感想を述べていただいてもいいと思います。
その他のあるある
紹介したステップの通りに進めても、意見交換が食い違い始めることはあります。そんな時は1つ前のステップが十分だったかを疑ってください。例えば、発散があまりにも的外れな場合は前提の確認や追加をしましょう。
そのほか、会議の終わり間際になって、「1つだけ、ちょっといいですか」とか、「忘れてた!ちょっとだけいいですか」などの追加を要求されることがあります。参加者の多くが閉会を意識しているタイミングなので、あまり喜ばれるものではなく展開したところで充実した意見交換にはなりません。
まずはご自身がやってしまわないように注意しましょう。
会議の時間配分の時点で少し余裕を持たせておくことも重要です。≫時間配分についてはコチラ
追加の要望が出てしまうことは仕方がないので、概要を整理して次回に持ち越すか、メールやチャットでの連絡に変えるなどの対処をあてはめてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。会議の流れ4ステップの解説をしました。
前提では参加者の物事の捉え方を揃えるために、情報を共有しあう
発散では前提をベースに意見を広く集める
収束では全員で冷静に意見の取捨選択をする
決定では合意や同意を確認し合い、参加メンバーで決めたことという事実を作る
会議の種類によってはどこまでやるかが変わりますが、ステップを踏まえることで、冒頭にご紹介した
一つの発言にすぐ否定意見が出て発言しづらい雰囲気になったり、
途中まで進んだ議論がそもそもの必要性を問われ振り出しに戻ったり、
会議の終了時刻が迫っているのに賛成反対の意見がまとまらなかったり、
の問題が解消できると感じられたのではないでしょうか?
ぜひ、議論の状況判断にお役立ていただき、無駄な会議を減らしたり、慌てず対処する参考にして、参加者全員が納得して終われる会議を目指していただきたいと思います。
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