「発言がなくて会議の雰囲気が暗い」
「参加者からのリアクションが分からないから不安になる」
「発言を求めると、返って追い詰めてしまっている気がする」
会議で参加者からの発言が出ない状況は意外と多いのではないでしょうか。
こんにちは、当サイト(ワクワク会議研究所)の所長です。私は企業団体の会議に10年間取り組み、今は企業の会議改善コンサルタントをしています。しかしその過程では、有意義な会議を開催できるようになるまで沢山の失敗を重ねてきました。
そこでこの記事では、私が模索してきた参加者が発言しやすくなる方法と、発言しない参加者の理由、さらに発言が自然と増える工夫を解説します。
- 発言しない人の気持ちが分かる
- 無理のない発言の集め方がわかる
- 発言を活発にする引き出しが増える
所長、会議なんて発言が出なくて当たり前なのかなって思っているんですけど違うんですか?
それは明確に違うんだ。例えば会議じゃ無くても仲の良い友達と2人だったら会話は弾むでしょ?そうはならない理由が「発言の出ない会議」にはいろいろあるってわけ。
さっそく対処法を紹介します。後半の「原因」も読んで理解を深めてくださいね。
事前に意見を用意して参加してもらう
対処方法の中でこれが一番簡単と言えます。会議中ではないので意見を求める側も求められる側も落ち着いて考えられるからです。
メールやチャットで事前連絡をすると良いですが、場合によっては電話や対面で投げかけましょう。
ポイントは、なぜ意見が欲しいのか理由を添えるという点です。
これは書籍「影響力の武器」にも紹介されているのですが、人は理由が添えられるとお願いされた行動を起こしやすいのです。
例)社内の自社サイト制作チームにて
私たちのホームページで、紹介文がわかりにくいとお客様からご意見をいただくことがあります。修正したいのですが、良いと思える修正案を次の会議までにご用意いただけないでしょうか?
前半が理由になっているということですかね。
そうだね。この文のいいところは端的であるということだね。長い文章になると読むのが大変で対応して貰いにくくなるよ。
この例にあえてツッコミを入れると、具体性が乏しいと言えます。お客様からの声を「わかりにくいと」とまとめてしまっているのですが、実際に言われたことをそのまま補足として載せておくと読み手は自分なりの意見を考えやすくなります。
抽象的にするのか具体的にするのか、短い文章でまとめつつも読み手のつもりで加減を考えるといいです。
書き出してもらう
会議中の対処方法として有効です。誰かに向かって話すより、自分の意見や言葉に集中できるからです。
一番のオススメは、実際に手元で書いてもらう事です。リモートであればチャットなどに打ち込んでもらうことでも良いです。
リアルの会議であれば付箋に書き出してもらうと、それをそのまま張り出すことができ便利です。
リモートではチャットが手っ取り早いですが、googleスプレッドシートを共有して同時に書き込んでもらえると一覧性が高まりわかりやすくなります。詳しくはコチラをご覧ください。
【付箋を使わず損する会議、使って得する会議】心理を踏まえて使いこなせ!! ~付箋の使い方ガイド~
要点の整理をする
何について意見を求められているのかが曖昧な場合に有効です。特に一方的な情報連絡が続いていたり、議論が紛糾している状況では
「ん?今何について話し合っているんだっけ?」
「え?今意見求められている?」
など状況を見失っている参加者も発生します。
何について意見を求めているのか、なぜ意見してもらいたいのか、問題になっているのは何かなどを整理し、全員が見えるように示す(ホワイトボードやチャットなど)ことや
「一旦要点を整理してみましょう」などと投げかけ場面の転換を際立たせると効果的です。
考える時間をおく
会議中に発言が出るまで待つパターンです。
所長、私は待てません。変な間が空くのがそわそわしちゃってつい何かしらしゃべっちゃいます。
分かるよ。私も昔はそうだったからね。
やり方としては参加者に向かって宣言してしまいましょう。
「皆さんからのご発言を待ちたいので、数分、わたしは黙っていますね」
こんな風に、それぞれの考えが進むように意味のある沈黙の時間として示せれば待つこともやりやすくなるでしょう。
対話できっかけを作る
参加者同士、数名で話し合ってもらうパターンです。参加人数の多い会議で特に有効です。2~4名程度のグループで数分話し合ってもらいましょう。
所長、5名以上じゃだめなんですか?
5名以上に増えるほど、対話の主体者という感覚が薄れていくから多くて4名くらいが良いよ。
リアルであれば、隣や近くの数名、リモートであればブレイクアウトセッションを使って話し合ってもらうことが出来ます。
さらに、発言者が誰なのかを伏せて発表してもらうことを前提で行えば、発言者は気兼ねが減るのでより発言しやすくなります。
同意であっても発言してもらう
誰かの発言と同意だから控えている方にもあえて発言してもらうパターンです。
同意なのに発言してもらうのは必要はない気がしますがどうなんでしょう?
そうとも言えるだけど、これには3つのメリットがあるんだ
- たとえ同意でも改めて聞いてみると違った内容が含まれているかもしれず、それをもとに他の発言が触発される場合がある。
- 本人が少しでも発言することで気持ちが楽になり、その後の発言が増えるかもしれない。
- 発言のハードルが下がるので、参加者全員の発言しやすさが高まる。
全員に聞く
文字通り、全員に聞くパターンです。緊迫した会議では力ずくの手法になってしまいますが、発言のタイミングを失っている参加者にとってはチャンスになります。
若干の同調圧力を感じますけど大丈夫ですかね?
もちろん使える雰囲気かは気にしてね。
リアルであれば、座席順にお伺いすることができますが、リモートであれば各自の画面上で並びが違うのでランダムで指名する形になります。
視点が変わる問いかけをする
意見が出やすいよう、テーマを意識する角度を決めてあげるパターンです。
例1)○○さんはリーダーですが、リーダーの立場としてご意見ありますか?
個人ではなく、立場や役割という視点で考えてもらうのがポイントだね。
例2)この論点はご自身とどんな関係がありそうですか?
自分事として再認識してもらうことがポイントだね。
例3)過去に似た経験はありますか?
経験に照らしてもらうことをきっかけに考えが進みやすくなるのがポイントだね。
必要な人だけに参加してもらう
厳選したメンバーで会議をするパターンです。
所長、会議なんて最初から厳選されたメンバーで行われるに決まってるじゃ無いですか?
実はそうとも言えないんだ。プロジェクトの関係者だからとりあえず参加してもらうなんてこともあるからね。
・状況を見守って欲しい
・教育の一環として体験して欲しい
・関係者だから
など議論に必要なわけではなく、違った都合で参加者を募る場合は要注意です。
出席してまずい理由ってなんでしょう?
議論に不必要なメンバーは自ずと発言が出にくく、悪気が無くても活発な雰囲気を阻害してしまうんだ。
いつも発言してくれて頼りになる、などの理由で参加者を決めるのも要注意です。参加者の時間を割いているということは逆を言えば本来やるべき仕事を中断していることになります。組織の生産性に影響しますし、発言者が偏り多様な意見交換が出来なくなることも考えられます。
前述しましたが、気兼ねなく発言しやすい人数は4名程度で、それを超えるほど参加者としては発言しにくくなります。議論に必要なメンバーは誰なのか、必要最低限の人数での開催をオススメします。
<原因>発言が出にくくなるのはなぜ?
ここではご紹介してきたさまざまなテクニックがどんな原因に効果があるのか解説します。まずは原因を網羅的に挙げてみます。
発言が出ない原因っていろんなパターンがあるんですね。
そうだね。これらを想定して対処方法を選択できるといいね。
会議の参加者はそれぞれ別の原因を抱いている可能性もあるので、紹介している対処法をいろいろ合わせて実施してもいいと思います。
関心が無い
議題について自分事と捉えられていない状態です。個人ではなく、役割や使命と議題の関係性について考えてもらう必要があります。
対処法:視点が変わる問いかけをする/必要な人だけに参加してもらう
理解が追いつかない
思考に時間が掛かっている状態です。個性の場合もあります。時間が掛かる反面で深く考えられることもあり、確信を突いた意見や盲点の意見をもらえることもあります。
対処法:事前に意見を用意して参加してもらう/考える時間をおく
思いつかない
発想が広がらない状態です。自分事が薄かったり、思考の切り口が分からないのかもしれないです。
対処法:事前に意見を用意して参加してもらう/要点の整理をする/対話できっかけを作る/視点が変わる問いかけをする
誰かと同意
同意だから言う必要が無いと思い込んでいる状態です。言う必要が無いかどうかは聞いてみないと分からないものです。
対処法:同意であっても発言してもらう
自分の発言は不必要と思っている
「どうせ私の意見は採用されない」
「どうせ役員の意見でひっくり返る」
などの考えから、発言をあきらめている状態です。
対処法:書き出してもらう/対話できっかけを作る/全員に聞く
発言のタイミングを計っている
発言の割り込み方がわからない、割り込んだら失礼と思っている状態です。
対処法:対話できっかけを作る/全員に聞く/考える時間をおく
意見に自信が無い
意見が曖昧なため、発言してもとりとめが無くなって心配している状態や、発言が否定されるのが怖いと思っている状態です。
対処法:書き出してもらう/対話できっかけを作る
多人数に遠慮している
様子をみていて、誰かが発言してくれるだろうなどと思っている状態です。発言のタイミングを計っている状態に似ていますが、どちらかというと発言に後ろ向きです。
対処法:書き出してもらう/対話できっかけを作る
責任を持たされそうで怖い
周りが発言しない中、自分だけが発言してしまうとまるで積極的のように見えてしまい、その後の役割やアクションを背負わされると厄介だと思っている状態です。
対処法:書き出してもらう/対話できっかけを作る
ワクワク会議への工夫
参加者に仕切り役が意見を求めるという関係性は、程度の違いはあれど強制力が働いています。自発的な発言が出やすい状況を作るには、会議の最初に緊張をほぐすやりとり(アイスブレイク)を設けることが有効です。
アイスブレイクってなんだか難しそう・・・
幾つかパターンを用意しておくから、状況に応じて使うと良いよ。
アイスブレイク
使うタイミング:会議の最初 5~10分程度
やり方:仕切り役がお題を用意して、参加者に発言してもらう
お題の例1)食べ物
- 最近食べたおいしいモノは?
- いつか食べたいメニューは?
食べ物はいつでも誰にでも親しみやすいテーマです。
お題の例2)その会議の議題に関連した内容
- スゴイと思った商品は?(商品開発が議題)
- 自分の地域のココが好きを紹介して。(まちづくりの議題)
議論の本題に入るための思考の切り替えが期待できます。
お題の例3)ポジティブな内容
- 最近あった初めての体験は?
- 週末にあった嬉しかったことは?
これから行う議論に向けて、前向きな気持ちに切り替える期待が出来ます。
理想の会議に向けて
会議は組織の生産活動に照らして考えると、少ない時間で重要なことを議論できることが望ましく、議論に意欲が無い人は参加しない(参加してもらわない)事が理想です。
ですが、組織の事情で参加者を選べなかったり、参加者が不参加を表明できないなどの状況もあるかもしれません。それらは会議ではなく組織に変革の余地があると言えますが、
会議を開催する限りは参加者が「参加してよかった」と思える会議を目指すべきです。
なぜなら、会議の後の仕事や作業への意欲に影響するからです。
具体的にどうすればいいのかは、ここで紹介した手法を活用されるといいと思いますが、本質的には「参加者1人1人を大切にする」ことだと考えています。
今までの発言しにくかった会議は、あまり大切にされていなかったのかなぁ
仕切る側がやり方を知らなかったということもあるから、自分が仕切る時のために学んでおこうね。
まとめ
- 会議で発言しない人にはさまざまな状態がある。
- それらに対応した対処を行うことで発言が出やすくなる。
- 議論に必要な人だけで会議することも重要
- ベストは4名多くなるようなら小グループに分けて話し合ってもらう
- 会議の最初にブレイクアウトセッションを行うと雰囲気が良くなる
ご紹介の内容から特に重要と考えているモノだけをまとめてみました。是非ご活用いただき有意義な会議にチャレンジしてみて下さい。